ちょっと前まで、私は「パスタ小僧」だった。おっと、五十路を迎えるようなオヤジが小僧とは何事だとのツッコミはご遠慮いただきたい。あくまでも「小僧=フリーク」的なニュアンスである。
以前は美味しいパスタ(ほぼ=スパゲッティ)を求めて、ランチタイムにいろんな店を回って食べ歩いていた。別にグルメを気取るつもりもなく、ただ自分の好みに合ったパスタを探していた。そして新しい味を探しながらも、一番気に入った店によく通った。
その店とは「ラグー」という上新屋町にあった店。「あった」と書いたのは、今はもう無いからだ。バリラのNo.3スパゲッティーニ を程よく茹で上げ、独自のソースをベースに様々な味付けを施し、フレンチを思わせるような繊細な盛り付けで出される週替わりパスタランチは、外食ランチの毎週の楽しみだった。
何年通っただろうか、ある日店を閉めるとの話を聞いた。とても残念だった。閉店直前に家族で食べに行ったときに聞いた話では、その後駅前の地ビールレストラン「マイン・シュロス」のレストランに勤務するとのことだった。
それ以来、だんだんと外でパスタを食べなくなってしまった。「ラグー」の近くにあった「ラ・グラッツィア」も結構好きでたまに行ってたのだが、この店も去年閉店した。で、ますます食べなくなってしまった。
そして、最近では唯一外食でパスタを食べていたところが、 名鉄ホテル北側の「フィオーレ」。ここもオリジナリティ溢れる手作りの味。ただ、ラグーとはだいぶ違ったテイストのパスタだった。好みではあったが、何週間に一遍くらいの頻度だった。
先週のとある日のランチタイム、「フィオーレ」にいつものようにチャリで行ったら、店の前に張り紙が。なになに、イタリアで研修中に付き○×日までお休み、とな。う〜ん、どうしようかなぁ〜、とチャリにまたがって方向を変えると、目の前に以前から気になっていていつかは行ってみようと思っていた店が。
というわけでその日のランチは「トロンバ」に決定。店の前の街路樹にチャリを縛り付けて店に入ると、あらら混んでる。私は待ちの2番目。しかもその後ぞろぞろお客さんが来て、あっという間に階段の途中まで行列が。あいや、この店人気あんだな〜 と感心する。でも結構席数もあり、お客さんも回転していく。私は一人だったからカウンターへ。
注文は日替わりパスタランチ大盛り。大盛りが無料というのがメチャ嬉しい。パスタにスープ、ちょっとしたサラダ、フランスパン2切れが付いて、850円なり。これに+100円で食後の紅茶を付けた。950円なり。
カウンターから調理の様子が目前に見えるので、それを眺めながら待つ。スタッフはみんな若い子ばかりだが、気持ちよくテキパキと動いている。礼儀も正しく、何より笑顔を忘れない。とても気持ちが良い。
作り方を見ていると、何だかラグーと似ていると感じた。使っている調理器具もほぼ同じだし、手順や段取りがそっくりなのだ。ふ〜ん、面白いなぁと思いながら見ていた。
そして出されたパスタを食べてビックリ。パスタの太さ、ゆで加減、ソースの風味から盛り付けまで、 ラグーに本当によく似てるのだ。特にパスタを頬張って歯でかんだときの感触がたまらない。そう、あれだよ、あれ。ソースとの絡み方も同じ。なんか感動してしまった。ああ、嬉しい・・・また来なきゃ。
で、今日が来店3回目である。今日のメニュー(写真)は「ツナと根菜の和風ペペロンチーノ」。これには驚いた。ツナと玉葱、三つ葉はソースに混ぜ、具は蓮根、牛蒡、蒟蒻である。和風の風味付けは味噌と醤油をアレンジしたもの。それに胡麻と刻み海苔のトッピング。もちろんピリ辛のペペロンチーノ仕上げ。初めて食べる味だ。この何が出るか分からないところが日替わりの楽しさだよね。
今日気が付いたのだが、使ってるパスタはディ・チェコのNo.10フェデリーニ。しかしラグーで使っていたバリラとそっくりだった。同じ1.4mmでゆで加減も同じなら、全く同じになるのだろうか。
まあいいや、とにかくまたお気に入りのパスタを見つけられた。これでまた外食パスタの楽しみが出来たな。もう一度「パスタ小僧」になるとするか・・・