前半からの続き。
■8月24日(火)
北海道は昨日から記録的な大雨で、ここ富良野周辺も夜間にずいぶん降ったようで、芦別へ抜ける国道38号線が土砂崩れのため通行止めとなったり、JRも遅れや運休があったようだ。今日は苫小牧東港からフェリーで新潟へ向かう。出港は19:30。ちゃんとたどり着けるのかと不安になったが、民宿で他の宿泊者達とどのルートを通るのが一番いいかを検討し、最初考えていた日高峠を越えるルートを止め、県道135〜国道452〜県道116で三笠市へ出て、隣の岩見沢市から国道234で苫小牧まで抜けるルートを選択した。時間的には十分余裕があるのでまだ気は楽だ。昼食を昨日訪問したお客さんの店で取ってから出発することにした。
美味しいカレーランチを食べながら外の雨の様子をうかがう。今のところそれほど強く降ってはいない。今日の後半には回復に向かうようだが、山間を通るだけに気は抜けない。お腹が満たされたところで出発だ。
国道452で桂沢ダムに近づいたところで空が暗くなり激しい雨。ジャケットとパンツとグローブは防水&透湿性の万全の体制だったが、唯一ライディングシューズだけが防水ではなかった。私はあのレイン用のブーツカバーというのが大嫌いで、今回も覚悟の上で用意してこなかった。案の定、身体も手も全く問題なかったが、足はプールに浸けたような状態だ。ソックスが思いっきり水を吸っているので、ペダルを踏むごとにぐちょぐちょという感触が気持ち悪い。さすがにこのままでは耐えきれないので、三笠市街に入ったところでシューズの中の水を出してソックスを絞った。
やはり防水は必要だ。しかしブーツカバーはイヤだ。ペダルの操作性がすこぶる悪くなる。シューズも防水のレイン対応にするしかないかな。(ってそういうのはあるのか?)
雨もあがり、あとは苫小牧目指して走るだけだが、ただ国道を走るだけではつまらないので、途中県道などにも入ってみる。すると広大な馬場にサラブレッドが。見ると道の両側はすべて競走馬の施設だ。
その一角に入ってみた。看板には「社台スタリオンステーション」とある。見学も出来るようになっているようだが、こちらには馬はいない。奥に見える店らしきものも営業していないようだ。写真右にある見学できる台の正面の馬場には「トウカイ・テイオー」との名札がある。競馬には疎い私でも、この名前は聞いたことがあるぞ。あとで調べてみると、ここには過去の名馬が勢揃いしていて、どうやら種馬として活躍をしているようだ。
広大な馬場を後にして、延々と続く北海道らしい丘陵地帯の畑を見ながら苫小牧東港へ着いた。
17時着。出港は19:30だ。やっぱり早かった。バイクを列に並べ、ターミナルビルへ行って手続きを済ませ、ロビーで珈琲を飲みながら一休み。時間を潰すのは慣れている。
今度のフェリーは新日本海フェリーの「しらかば」だ。往きの商船三井フェリーの「さんふらわあ ふらの」よりもちょっと高級な感じ。
■8月25日(水)
今度の日の出は青森県沖。ポイントは太平洋側ではなく日本海側で、津軽半島の南沖あたりか。
今回は雲が多かったが、それはそれでいろんな表情があって楽しめた。
その後、男鹿半島をぐるっと回って秋田港に寄港。最初はここで降りてkoichiさんのとこへ行こうと計画したが、いろいろな都合により断念。そのまま乗って新潟まで。
船内のカフェでは11時からジャグリングショーが始まった。「カップラーメンズ」という聞いたこともないコンビだ。こういう人たちはこういうところで修行を積んでるんだなぁ。そう言えば学生時代に苫小牧までフェリーに乗ったときには、なんと大橋純子と美乃家セントラルステーションの無料ライブがあった。特にステージでもない部屋で、私は一番前でかぶりつきで見たなぁ。むちゃくちゃトクした気分だった。
それからほどなくして11:10。フェリーは飛島を通過。最近koichiさんがハンマーヘッドで通ってる島だ。本州から距離にして25kmあるとのこと。ここをkoichiさんがハンマーで横切っているかと思うと、ちょっと感慨深いものがあった。ちなみに飛島って秋田県じゃなくて山形県なんだね。
本州方向を見ればうっすらと山が見える。さすがに遠いね。よくハンマーでここを往復するよね。
写真のようにフネにはジャグジープールもあり、天気も良くて暑かったので、女の子がお父さんと楽しんでいた。
私はデッキでぼーっと日向ぼっこ。向こうに見えるのは粟島。他に見えるものは空と雲と海しかないが、エンジンの低い音と波の音を身体で感じながら、その中に何も考えず身をゆだねているのはとても気持ちの良いものだ。意外にもこうしている時間の経つのは早い。
そうこうしているうちに新潟に到着だ。信濃川をちょっと上ったところに新潟港はある。向こうからすれ違いにフネが来た。佐渡へ行くジェット高速船のようだ。すれ違いが完了するまでは徐行していたが、それを過ぎると後方からしぶきを上げてジェットを噴き出し、びゅーんと高速で走り去っていった。
フェリーに積まれているバイク達。荷物の積載も終わり、下船を待つのみ。
15:30。今日はこれから高速で松本まで行かなければならない。下船をしたらすぐに日本海東北自動車道の新潟亀田ICから入り、北陸自動車道〜上信越自動車道〜長野自動車道を通って松本ICまで。この間300km足らずか。
妙高高原を抜けて小布施を過ぎたあたり、もう時間も遅くだんだん暗くなってきているところへ雷の稲光。激しい雨。薄暮の高速である。緊張する。おまけにガス欠が心配。計算上ではあと60kmくらいは走れるはずだが、それでも松本までではそれほど余裕はない。この夜の雨の中、高速上でガス欠になったら悲惨だ。もはや神頼みで走るしかない。さらに言えば、全く雨を予想していなかったために、グローブは晴天用の革手袋だ。雨でぐちょぐちょになり、足と共に冷え始めた。どこのPAだか忘れたが、とりあえずグローブだけをレイン用に取り替えてまた走り出した。
なんとか松本ICを出るまでガソリンがもってくれ!と祈りながら走っていると、松本IC直前の梓川SAにガソリンスタンドのアイコンが!おおー、助かった・・・と安堵の思いで給油をしたら、残り0.9Lだった。これでもまだ30km近くは走れるが、精神的に良くない。とにかく一安心して松本のホテルへ。ずぶ濡れでへろへろになって疲れたが、食事をしてないので着替えて駅前に出てラーメンを食す。「むつみ屋」という札幌ラーメンの店だったが、素材が良いのか結構美味しかった。この日は夜の飲み会がないのでブログを書いて就寝。
■8月26日(木)
この日は旅の最終日。松本を出て美ヶ原の高原を抜けて小諸へ入り、お客さんを訪ねてサポートしてから一気に浜松まで、という行程。
なかなかハードな行程で時間に余裕がないので、国宝の松本城も道路から見るだけ。
美ヶ原高原の駐車場。かつて某企業に勤めていたときに同僚とツーリングに来たから覚えている。
ここは海抜約2000m。雲が眼下に見える感じ。駐車場の片隅で何やらアマ無線らしき人がダイポールアンテナを張って通信をしておった。おっさんかと思って見ると彼女と二人連れ。結構若い兄ちゃんだった。まだこういう人もいるんだなぁ。
時間もないことだし、写真を撮ったらさっさと行く。下りの道を快適に飛ばしたら、高度差1000mを15分ほどで一気に降りた。そのままでは耳抜きの出来ない私は耳がほとんど聞こえなくなり、止まって鼻をつまんでようやく聞こえるように。
小諸のお客さんのサポートを済ませ、国道141をひたすら南下して韮崎へ。途中八ヶ岳の東側、野辺山のあたりは北海道に似た丘陵の高原地帯。う〜ん、やっぱり信州はツーリングにはいいなぁ。
今日は距離を走るので出来るだけ高速を利用したい。須玉ICから中央自動車道に入り、双葉JCTから中部横断自動車道で終点増穂まで乗り、あとは国道52で清水まで抜け、清水ICから東名高速で浜松まで。
東名に乗ったらホッと一息。日本平のSAで一休み。時刻は18:20。ここまで来ればもうあと1時間ほどだ。長いようで短かった旅もそろそろ終わり。ここまでの走行距離は1700kmくらい。不思議と肉体的にも精神的にも疲れを感じていない。この分だとそのうちまた同じような計画を立ててしまいそうだ。今度はどこになるのだろうか・・・