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何ともベタで可笑しげな名前だが、その実体は紛れもなくヒットマン(=殺し屋)だ。いや、殺さずに隷属させて搾取をし続けるその手口は、単なる殺し屋より一層卑劣だと言うべきだろう。
2004年にアメリカで出版されて大反響を呼び、昨年12月に日本語訳された「エコノミック・ヒットマン」は、原題を「Confessions of an Economic Hit Man(エコノミック・ヒットマンの告白)」といい、実際にエコノミック・ヒットマン(以下EHM)として活動していたジョン・パーキンスという人物の、自らの人生を語ることでアメリカの暗黒部を告発した本である。
EHMとは何かをその序文から引用すると、
エコノミック・ヒットマン(EHM)とは、世界中の国々を騙して莫大な金をかすめとる、きわめて高収入の職業だ。彼らは世界銀行や米国国際開発庁(USAID)など国際「援助」組織の資金を、巨大企業の金庫や、天然資源の利権を牛耳っている富裕な一族の懐へと注ぎ込む。その道具に使われるのは、不正な財務収支報告書や、選挙の裏工作、賄賂、脅し、女、そして殺人だ。彼らは帝国の成立とともに古代から暗躍していたが、グローバル化が進む現代では、その存在は質量ともに驚くべき次元に到達している。
かつて私は、そうしたEHMのひとりだった。
さらに、
・・・私の仕事には主要な目的が二つある・・・。第一に、巨額の国際融資の必要性を裏付け、大規模な土木工事や建設工事のプロジェクトを通じてメイン社ならびに他のアメリカ企業に資金を環流させること。第二に、融資先の国々を破綻させて、永遠に債務者のいいなりにならざるをえない状況に追い込み、軍事基地の設置や国連での投票や、石油をはじめとする天然資源の獲得などにおいて、有利な取引をとりつけることだ。
簡単に言ってしまえば、かつての帝国は武力などによって露骨に植民地を支配していたのだが、多くの植民地が独立を果たし、世界の目も厳しくなってもはや単純な武力支配では収奪が難しくなった今日では、暴力や収奪の事実が表面化しないような方法を編み出したということである。
とは言っても、EHMたちが失敗した場合には、つまりターゲット国の権力者を抱き込めなかった場合、その権力者を暗殺する「ジャッカル」たちが放たれ、それにも失敗した場合には、従来の方法、つまり武力で破壊して支配権を握るという手順は常に適用されている。
本書では著者がEHMとして活動した、インドネシア、パナマ、サウジアラビア、イラン、コロンビア、エクアドル、イラクについて、時を追って具体的に語っている。もちろん、事情で名前を明かせないごく僅かの人物を除いてすべて実名だ。まだ記憶にも新しい、イラク戦争でお馴染みになった面々もぞろぞろと登場する。
驚くべきは、その狡猾な手段もさることながら、それがある一部の集団だけで行われているものではなく、米国という国家全体が、この目的を遂行するためのシステムとして機能しているという事実である。金融、メディア、行政、立法、司法、軍事などすべての権力がグルなんである。権力を支持する米国民も、メディアによって騙されコントロールされた状態にある。なんと言うことだろう・・・
著者は自分の仕事に何度も悩み、事実を公表すべきではないかと何度も筆をとったが、 その度に説得されたり脅されたりして断念してきた。しかし9.11を見て、最終的に出版の決断をしたという。その思いは世の中に通じるだろうか。
面白そうな本ですね。
そのうち映画化になったりして。
それもアメリカのある意味凄いところではないかと・・・・・
読んでみようかな。
是非読んでみてください。
そして、この本から一番学ばなければならないのは、
日本も例外ではない、ということです。
(もちろん、米国の収奪の対象としてです。)
これまでの一連の食品会社偽装問題は、
どうやらこういうことらしいです。
http://archive.mag2.com/0000154606/20070122033801000.html
なんともかんともですね。(>_